いつにも増して疲れを感じる夜勤だった。。前日の午前10に起床し、そのまま眠ることなく出社し夜勤に突入!翌日の午前10時半に終了。。軽く24時間は起きている事になる。退社後、今日はぐっすり眠れそうだと思った瞬間。。携帯が鳴った。それはまるで悪魔のささやきのように僕を誘惑して来た。。
「kameさん、夜勤お疲れ様でーす。これから釣りに行きましょう♪」
えっ。。
その能天気な声は。。ロジカルモンスターノガキチだった。確かに釣りに行く約束はしていたが…明日の予定だったはず。。何を血迷ったのか?僕が夜勤明けとわかっていながら釣りへのお誘いだ。勿論、Yes!と答えてやった自分が救いようのないどうしようもない釣りバカだと再認識するのに時間は必要なかった。
釣り場に向う車中では救いようのない釣りバカ二人が揃うと救いようのない釣り談義が始まるのだが。。今回はノガキチ君のお悩み相談的な話しになっていた。。彼の発する言葉の端々には悔しさみたいなものが見え隠れしていた。彼もまたこのストレス社会の中でもがき苦しんでいるように思えた。。
釣り場に着いた僕等は思い思いのポイントで釣りを開始した。自然の中に身を投じると人間社会で抱え込んだしがらみなどは一切消えて無くなる。僕等は…幼少期の子供のように無邪気に釣りを楽しんだ。救いようのない僕等を救ってくれるのはいつも大自然だと僕等は知っている。
。。答えはいつもここにある…。
…日も落ちかけた夕暮れどき。。今日のドラマ魚を狙いにポイントを移動をしようと車に戻った僕等を待ち受けていたのは。。恐ろしいくらいのアブの大群だった。。あんなに全速力で走って逃げたのは子供の頃以来だ。しかも両手に荷物を持って。。夜勤明けの30時間以上不眠不休の中でのあり得ない程のスピードで逃げた。
ノガキチ君を見ると首に巻いていたタオルを取りそのタオルでヌンチャクのように扱っていた。「お前は忍者か!」とツッコミをいれる余裕など僕には無かったが。。彼のヌンチャクさばきを見ていると彼は生まれて来る時代を間違えたな。。と思えた。
このアブの大群に襲われたことによって二人とも戦意損失。。『欲を出してはいけません!良い加減で帰りなさい!』と母なる大自然に怒られているようだった。。僕等は諦めて帰ることにした。。答えはいつもここにある。帰り際。。湖を見ると僕には聞こえた…。
『疲れたら。。またいつでも来なさい…』